小野川直樹インタビュー写真 interview-04

プロダクトデザインを学んだ専門学校時代

――専門学校での様子も詳しく教えてください。

小野川:デザインアート学科というところに入って、プロダクトデザインを勉強していました。本格的に学ぶというよりは、かじる程度なのですが、CAD(設計ソフト)をいじったり、出されたお題に沿って図面を引いて、プロダクトデザインを考えて、模型をつくる、といった感じでした。

――プロダクトデザインに興味があったんですね。

小野川:やってみたんですけど、ちょっと違うかなあという思いに至りました。お題があって、人からいわれたものをつくる、っていうことがあまり好きではなかったんですよね(笑)。それで、プロダクトデザインのゼミから、何をやっても大丈夫なゼミに変えました。本当に0から、自分がやりたいことをやろう、つくりたいものをつくろう。そう思ってモチーフを考えたときに、可能性を感じたのが、小さい頃から好きだった折り鶴だったんです。折り鶴で何かをしようと考えていたときに、ちょうど東日本大震災が起きました。折り鶴の作品をつくるようになったのは、そこからですね。

震災を経て感じた「生きなきゃいけないな」

――東日本大震災のときはどんな状況でしたか?

小野川:実家の家の前にいるときに揺れて、地球が割れるかと思いました。電線は揺れてるし、家は歪んでギシギシ鳴っていて。「終わったのかな」って思いましたね。家の中もぐちゃぐちゃになっていて、電車も止まっているらしいと。スーパーからものが無くなっているのも本当に異様な光景でした。それ以降、なんていうんですかね。「生きなきゃいけないな」みたいな、そういう感じになっていきましたね。それまではボーッと生きていたんですけど、なんかピッとなったというか。

――「生きなきゃいけないな」と感じたんですね。

小野川:ニュースでは津波の映像が流れていて「これは本当に大変なことが起きた」っていう実感があって、多分そのあたりでスイッチが入ったんですよね。自分が今できることは作品づくりだ。ものづくりの学校にいるし、それをちゃんとやってみよう、と。やっと自分に向き合えるようになったみたいな感覚でしたね。

――その後、現地にも訪れたんですよね。

小野川:震災の1年後に実際に現地に行って、その体験をもとに自画像の作品をつくりました。

インタビュー:今井夕華