小野川直樹の作品 Air-u-05

盆栽や動物、音楽からインスピレーションを受ける

――作品は木がモチーフになっていることが多いですが、何かこだわりはあるのでしょうか?

小野川:自分では「樹木」とあまり思っていなくて、生き物みたいなものをつくりたいと考えています。やっぱり東北大震災のとき感じた、自然の脅威と畏敬、襲ってくることもあるけど、自然がないと生きていけない、そんな曖昧さを作品に落とし込みたいなあと。木の図鑑や盆栽の本を見たり、あとは鹿の角や、蛇など動物の動きからもインスピレーションを受けています。音楽を聴くのも好きで、ヒップホップとか、レゲエとか、そういうものからインスピレーションを受けることもあります。

――小野川さんの作品は、曲線が有機的で綺麗ですよね。

小野川:スケッチをして立体に起こしたりもするんですが、スケッチのときの曲線が一番綺麗なんですよね。それをいかに立体にするかというのは、いつも難しいポイントです。スケッチなしで頭の中に描いたものをつくる方が綺麗にできることもあって、つくり方は作品によってまちまちですね。

――作品をつくる際には、どんな道具を使っているのでしょうか?

小野川:紙と針金、接着剤、カッター、あとはピンセットと手ですね。ピンセットを使うと、ギリギリ3mm四方の紙までは折り鶴がつくれます。紙は薄くて硬いトレーシングペーパーと、タント紙を使うことが多いです。タントは両面同じ色で、色数も多く、ちょっと毛羽立っているのがいいなと思って、よく使っています。相当近づかないとわからないんですけど、手でつくった温もりが感じられるのかなあと。ぜひ展示ではじっくり見ていただきたいポイントです。

インタビュー:今井夕華