小さい頃から好きだった折り鶴で、作品をつくる

――東北大震災の被災地を訪れたことがきっかけになっているという自画像の作品について、詳しく教えてください。

小野川:2mくらいの和紙に、4cmのマス目を書いて、ドット絵みたいにして色を塗り、切り込みを入れて端から折り鶴を折っていくというもので。くりばしと羽の4点がくっ付いているだけで、破けないように折って、額に入れました。元になっている写真は、折り紙と出会った、5歳くらいの自分です。学内で展示をしたのですが、その反応が結構良かったんですよね。

――作品を観た人の反応が良いのは嬉しいですよね。

小野川:その反応もあって「折り鶴でいけそうだな」と感じましたね。その後取り組んだ卒業制作も、折り鶴を使って「鶴の木」という作品をつくりました。2mくらいのすげの木を買ってきて、全部葉っぱを取って、そこに1万羽の折り鶴を付けてみたんです。最初は「折り鶴を付けたら綺麗かな」くらいの軽い気持ちでした。それが、今の作品のもとになっています。

――その作品では、鶴はどれくらいのサイズだったのでしょうか?

小野川:2cmくらいですね。実際のつげの葉っぱも小さかったので、それに合わせてつくりました。

模型屋さんのバイトが制作のヒントに

――専門学校の卒業制作が、今の作品のもとになっているという小野川さん。卒業後の進路はどうされたんですか?

小野川:普通に就職しようと思っていたんですよ。就職活動では、歯医者さんのドリルの先端をつくる会社を受けていました。職人に憧れて、技巧系の仕事がやりたいな、と思っていたんですけど、面接に落ちてしまって。自分で作品をつくっていこうかな、というのもあって、模型屋さんでバイトをしながら、卒業制作の「鶴の木」を卓上サイズでつくっていました。

――卓上サイズでつくってみようと思ったのは、どうしてだったのでしょうか?

小野川:模型屋さんの仕事で、針金を使って街路樹をつくるというものがありました。その技術を応用したら、鶴も付けられそうだなと。昔から小さいものが好きだったし、小さいものだと、自分の手の中に収まるのでつくりやすいんですよね。それで、卓上サイズでつくっていました。

――今はかなりコンパクトな作品が多いですよね。

小野川:卒業制作の「鶴の木」は、自分の中でも珍しく大きいな作品で、コンパクトなものが多いですね。

インタビュー:今井夕華