アメリカ留学でつくった折り紙は「悪魔」

――高校時代で印象的な出来事があれば教えてください。

小野川:アメリカに留学したことですね。10ヶ月間、ノースダコタっていうめちゃめちゃ寒い地域に行きました。マイナス20度くらいになる場所で、とにかく寒いんですよ。兄も留学経験があったので、特に考えもなく「じゃあ僕も」という感じでしたね。

――お兄さまがいらっしゃるんですね。

小野川:4個上の兄がいて、2人兄弟です。滞在中は現地の学校に通っていたのですが、日本からのお土産を渡したいなあと思って、折り紙をつくりました。やっぱり人に何かをあげて喜んでもらうのが好きなんですかね。

――どんなものをつくったんですか?

小野川:悪魔です(笑)。巨大な紙を用意してもらって、それででっかい悪魔を折りました。ツノと羽が生えていて、上顎と下顎の間から下が出ているんです。しっぽもあって、両手は5本指。つくり方はもう暗記していたので、30分〜1時間くらいで折り上げました。

――大きな鶴でも十分びっくりだと思いますが、悪魔とは!

小野川:それ以降、滞在中には「折り紙で何かつくって」って言われるようになりましたね。現地の方々は、そもそも角が合った三角を折れないんです。「鶴を折ってみよう」とみんなでやってみても、1時間経っても完成しなかった。紙を折る文化がないって、そういう感じなんだ、ととても驚きました。

両親の出会いは社交ダンス

――留学から帰ってきてからは、どんな生活を送っていたんですか?

小野川:高校を卒業して、「やっぱりものづくりが好きだけど、これからどうしようかなあ」と考えていたときに、母に美術の学校を勧めてもらいました。「お茶美(おちゃび)が良いって、誰かがいってたわよ」というので、御茶の水美術専門学校に進学したんです。

――迷わず即決したんですね。

小野川:ほかに選択肢もなく、大学に行くつもりもありませんでした。学校説明会に行ったときに「うちの学校は勉強とかしなくて良いんだよ」っていうので、「ここにしよう」と(笑)。

――ご両親はどんな方だったのでしょうか?

小野川:母は美術がとても好きで、自分でも声楽やピアノの先生をやっていました。若い頃はオペラをやっていたみたいです。僕が学校に行かなくなったときも寛大に見守ってくれました。父は普通の会社員なのですが、音楽が好きで、二人は社交ダンスで出会ったらしいです(笑)。カントリーダンスは今も二人で習っています。

インタビュー:今井夕華